交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました

茉莉花が手を出すと、紫は顔を輝かせ、ニコニコしながら皿を手渡した。


「茉莉花、気を遣わなくていいんだぞ」
「そうだよ、茉莉花さん。紫はしつこいところがあるから、嫌なときははっきり言ったほうがいい」
「ふたり揃ってひどいんだから」


吉鷹と徳之助から立て続けにダメ出しをされ、紫が軽くいじける。あくまでもふりであって冗談交じりのため、その場はとても和やかだ。


「吉鷹さんもお義父様も、私ならもっと食べられますから心配しないでください」
「茉莉花さんは優しいわね。やっぱり持つべきは息子じゃなく娘よ。茉莉花さん、吉鷹が悪さをしたら、なんでも話してちょうだい。私がとっちめてあげるわ」


心強い言葉に笑って返す。


「そのときはよろしくお願いします」
「おい、茉莉花、俺がどんな悪さをするっていうんだよ」
「さあ、なんでしょうね。私にもわかりません」


目を尖らせる吉鷹に向かって両手を広げて肩をすくめる。もちろん彼が、茉莉花を泣かせるようなことをするとは思っていないが。
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