お前を地の果てまで追いかける〜御曹司の決意
なんか全て見透かされているようでびっくりした。

「はい、仕事探しています、住むところもなくて、困っています」

私は正直に事情を打ち明けた。

「そうかい、それならここで働かないかい、部屋もちょうど娘が東京に行ってしまって空いてるんだよ」

「えっ、そうなんですか」

私は藁をもつかむ気持ちでお言葉に甘えることにした。

「それを食べ終わったら、二階に案内するからね」

「ありがとうございます、私、森川優里と申します」

「森川」

おばさんは記憶を辿るように考え込んでいた。

「お母さんは健在かい」

「一年前に他界致しました」

「病気かい、それとも事故か何かかい」

「癌を患って亡くなりました」

「辛いことを聞いてごめんよ」

「大丈夫です」

それから私は食事を全て平らげて二階に案内してもらった。
「この部屋を自由に使っていいからね、明日から店を手伝っておくれ」

「はい、よろしくお願いします」

その頃、俺は必死に優里の行方を探していた。

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