クールな准教授は密かに彼女を溺愛する
紗奈は泣きながら要の胸に飛び込んで来た。

とっさに抱き止め思わずぎゅっと抱きしめてしまう。

心臓がどくんと跳ねて、暴れ出す。
落ち着け自分、これは不可抗力だ。

大丈夫だ。セクハラにはなり得ない。

これまでも学生時代の経験に寄って、
人間不信なところがあり、他人と触れ合う事を極力避けてきた。
教壇に立つようになってからはますます異性には近付かないよう細心の注意を払ってきた要にとって、衝撃的な出来事だった。

どうにか彼女を泣き止ませたくて、
背中をさすったり、頭を優しく撫でてみたり、いろいろ試みる。

やがてヒックヒックと震えてた身体が静かになった。

泣き疲れて寝た?
恐る恐る声をかけてみる。

「あの…中山さん?」
覗き込むと急に顔を両手で隠して飛びのく。

「ご、ごめんなさい。先生…
…急に抱きついちゃったりして」
恥ずかしそうに顔を隠したまま話す。

「いえ。気にしないで下さい。
少しでもあなたの気持ちが落ち着いたなら良かったです。

申込書は一度家に持ち帰ってくれてもいいですから。明日改めて持ってきてもらって構いません。」
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