クールな准教授は密かに彼女を溺愛する
「玄関から良い匂いがしてお腹が空いた。先にご飯にするよ。」

やっと腕から解放された紗奈は夕飯の準備をする。
要はそつなく机を拭いたり、カトラリーを並べ紗奈を手伝う。
カレーやサラダを運んで2人分並べる。

「待ってなくても良かったのに、お腹空いただろ?」

「いえ、せっかくだし出来れば一緒に食べたいと思って。」
恥ずかしそうに言う紗奈が可愛い。

「じゃあ。早速いただきます。」
カレーを頬張る要を見ながらやっぱりちょっとお兄さんと似てるなぁと思いながら微笑む。

「紗奈のカレーは上手いな。毎日でもいける。」
そう褒め称えて気付けばあっと言う間に一皿食べてしまう。
「お替わりもらっていい?自分でやるよ。」

そう言って自らキッチンに立つ。
「あっ、今日はルーが足りなくてあまり量作れなかったんです。すいません…。」
翔が2皿分食べた事を言えなくて、苦し紛れにいいワケを言う。

「じゃあ。明日はカレーうどんじゃないのか…、残念だな。」

「カレーうどんも好きだったんですね。じゃあ。次回は大量に作ります。」

「紗奈の料理は何でも美味しいからつい食べ過ぎてしまう気をつけなきゃ太るな。」
嬉しそうに笑いながら要は言う。

「少しでも喜んでもらえて嬉しいです。」
紗奈は素直に喜ぶ。

「兄が持って来た書類ってこの封筒?」

「そうです。あっ、すいません先に渡すべきでした…。」

「破り捨てていいぐらいの内容だから大丈夫だよ。後で捨てたって兄に伝えとく。」

「ちゃんと中身は見て下さいね。お父様から頼まれたって言ってたので。」

「分かったよ。ちゃんと見てから破り捨てる。」

要さんも翔さんもたいした事無さそうに話すけど、大企業の社長でもあるお父様の意思をそんなに軽く考えていいの?と、紗奈は信じられない。

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