クールな御曹司の溺愛ペット【続編完結しました】
定時をすぎ、ようやく執務室へ戻ってきた一成さんを見つけ、私は小走りで駆け寄った。
「副社長、あの、今日はすみませんでした。私……」
「ああ、わかっている」
何を言われるのか覚悟をして、泣きそうになりながら頭を下げたのに、返ってきたのは一言だけ。そして何事もなかったかのように一成さんは副社長室へ入っていく。
……あれ?
てっきりその場で叱られることを想定していたのに、あっさりとかわされて拍子抜けしてしまった私はしばらくその場で立ち尽くす。
まさか、これはめちゃくちゃ怒ってるってこと?!
そう考えると、戻りかけていた血の気が思い出したかのようにサーっと引いていく。
ううっ……。
「……私、もう一度謝ってきます」
涙目になりながら時東さんと目が合うと、御愁傷様といった感じでそっと目を伏せられた。