黒い龍は小さな華を溺愛する。
これが常盤くんの世界なんだ。
私たちの姿に気付いた人が、こちらに向かって近づいてくる。
金髪の坊主だー……。
ドキドキして思わず紫藤くんの服の裾を握ってしまった。
「沙羅ちゃーん、それやばっ」
「え!?」
「そういうことされると男は勘違いしちゃうよ?」
「ご、ごめん!」
とっさに紫藤くんから離れるとよろめいて倒れそうになった。
「うおっあぶねぇ!」
私を押さえてくれたのは金髪の坊主さん。
耳に沢山のピアスと鼻や眉毛にも……
驚いて固まってしまった。
「沙羅ちゃん大丈夫!?」
「う、うんっ」
すると金髪の坊主さんが「宗佑の女!?」とびっくりした表情で私を見た。
「あー、違う違う!そうだったらいいんだけどねぇ、残念ながら夕晴のモン」
笑いながら紫藤くんがそう言うと金髪坊主さんが「は!?夕晴の!?」と、ますます驚いていた。
「あいつ女できたのかよ!?ほぼ毎日会ってっけど、んなこと聞いてねえぞ!?」
この人常盤くんと毎日会うくらい仲良い人なんだ。
そのくらい仲良い友達にも私の事は言ってないのか……。
だよね、本当の彼女でもないし。