黒い龍は小さな華を溺愛する。
4*
黒幕の正体
あれから数日後、鳳凰のバイトを辞める決心がつき、常盤くんと篠原さんに伝えた。
常盤くんは辞めてほしかったみたいだったから、すんなり受け入れてくれたけど篠原さんは悲しんでくれた。
〝気が変わったらいつでもきていいよ〟
そんな優しい言葉に胸が痛くなった。
本当は辞めたくない。
あんなに苦手だった、人と話すっていうことにも慣れて。
お客さんと話すのも楽しくて……。
これからだったのに。
悔しい思いで涙が出そうだったけど、篠原さんの前では必死にこらえた。
そして、その日は突然やってきた。
夜、母が仕事で出て行ったあとの事だった。
近くのコンビニで夕飯を買おうとアパートの階段を下りた時。
「やっと一人になったな」
聞き覚えのある低い声が暗闇から聞こえた。
私はこの瞬間を待っていたのかもしれない。
「久しぶりですね」
「なに?なんか強気だな。覚悟はついたか?」
逃げる選択肢は、もうなかった。