黒い龍は小さな華を溺愛する。


『俺、沙羅と同じ高校に行きたいんだ』


そんな言葉に惑わされ、偏差値が高い高校の受験も必死に頑張った。


そして1年生の終わり頃言われたんだ、


『沙羅と付き合いたい』って。


夢みたいで信じられなくて。


しばらく間抜けの殻だったけど、相羽くんの優しさは本物だと、私は浮かれていた。


私に彼氏ができるなんて。


ありえないことなのに。



バカだよね。



でもね、こんなことされても相羽くんのこと信じてる自分がいて。


優しい相羽くんがそんなことするはずないって思ってる。


きっと誰かに脅されてるのかもしれない。


怖いけど……


明日本当のことを聞いてみよう。


私は深呼吸をし、服を整えてトイレのドアを開けた。


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