俺様外科医は初恋妻に一途な愛を貫く~ドSな旦那様の甘やかし政略結婚~
さらに政略結婚を受け入れるという条件もあるが、かわいい千里を妻に所望しないのは、彼女を妹のように思っている兄くらいだろう。

『俺が代わりに病院を継ぐために、最先端医療の本場、アメリカでキャリアを積んでくる。その間の時間稼ぎを兄さんに頼みたい』

兄に申し出ると、複雑な表情で『隆成はそれでいいのか?』と問いかけられた。自分のせいで弟が犠牲になろうとしているのではと案じているようだった。

実際は俺のほうに利するところがあるのに。

むしろ私欲でしかないのに。

兄は本当にまっすぐな人だ。

『俺はそれでいい』とだけ、返事をした。

幸い織谷家は千里の結婚を急いでおらず、彼女自身も社会の一員として働くことに生きがいを感じているようだったから、思いのほか引き延ばすことができたのだった。

そして半年前、ついに父から俺に声がかかった。

『相馬総合病院の後継者として、アメリカから戻って来てほしい』

本懐を遂げた瞬間だった。

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