俺様外科医は初恋妻に一途な愛を貫く~ドSな旦那様の甘やかし政略結婚~
光一さんは私より七歳年上の三十四歳で、総合診療科医をしている。

私の曾祖父は大企業の創業者で、父も起業家、母は名家の令嬢だ。

加えて複数の億ションやビルを所有しているいわゆる権力者一家で、私と光一さんは政略結婚である。

それでも子どもの頃、父に『千里(ちさと)は相馬総合病院を継ぐ男性と結婚するんだよ』と告げられてからもう二十年、この日をずっと心待ちにしていた。

穏やかで優しい光一さんに心を惹かれていているからだ。

もちろんまだ正式に婚約を交わしていない状況だから、恋愛感情を抱いているのは光一さんには秘密にしている。

主に家族ぐるみの付き合いで、数カ月に一回は私から食事に誘っているけれど、手すら握ったことがない。

実はずっと好きだったと告げれば、彼はどんな反応をするだろう。

もしかすると、彼もひそかに私に好意を持ってくれていた……なんて、運命的な展開が待っていたりして。淡い期待が湧き上がってくる。

ちなみに相馬家には、光一さんより二歳年下の隆成(りゅうせい)さんという次男もいて、現在はアメリカの大学病院で外科医をしている。

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