片恋プロセス
七海side

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近所に住んでいる“こうちゃん”は
小さい頃から明るくて、優しくて、
しっかり者。そして私が困ってると
いつも助けてくれる。小さい頃の私は、
常にこうちゃんの後ろを付いて歩く子
だった。そんな私が、
“出来ない”と言えば、
何でもやってくれる。
“行けない”と言えば、
一緒に行ってくれる。
“分からない”と言えば、
教えてくれる。
それが当たり前だと思っていた。
こうちゃんが一緒だと無敵だと思っていた。友達は集まってきて、近所の
おばちゃんおじちゃんは可愛がって
くれる。私とこうちゃんはいつも一緒。
こうちゃんは私にとっては特別。
ずっと続くと思ってた。

こうちゃんの事が好きで付き合いたい
けど、振られて側に居られなくなったら
思うと前には進めず。
でもこうちゃんの隣はキープ。
そんな中学生時代。

高校で初めて別の学校になった。
元々、こうちゃんと私の学力は
雲泥の差がある。同じ高校に行くのは
無理があった。高校生になって会える
時間は減ったけど、変わらずこうちゃんに
1番近い女の子は私。だけどいつからか
こうちゃんの話に良く出てくる様に
なった、友達の妹の“はなちゃん”
凄い懐いてくれてる、中学生なのに
大人っぽい、勉強を教えればどんどん
吸収して、成績が上がっていくから
教え甲斐があるんだって。
でもこうちゃんの1番は私だよね!?

高校2年生の文化祭。
こうちゃんの学校に行きたい!
こうちゃんと一緒に回りたい!
とおねだりして行った。もちろん
休憩時間も確認済。こうちゃんの
クラスに行くと、こうちゃんと
知らない女の子と男の子が話している。
こうちゃんが私の知らない人たちと
明らかに気を許している様な顔をして
話してる…分かりきっていた事だが、
私が知らないこうちゃんの世界が 
あることに内心焦った私は早く
あの中に入らなきゃとこうちゃんの
名前を呼んだ。こうちゃんが私に
目を向けると、いつものこうちゃんの顔。

「来てくれたんだね?」

「ちゃんと休憩時間合わせて来たよー。
 一緒に回ってくれるんでしょ?」

「うん。あっ!俺の友達の圭輔とその妹の
 華ちゃん。華ちゃんはウチの高校
 目指してるんだよ」

「わぁ、大人っぽい子だね。こうちゃんと
 同じ高校目指してるって事はすっごく
 頭いいんだね。藤岡七海です。
 こうちゃんとは幼馴染なの」

この華ちゃんがこうちゃんの事が
好きなのは直感的に分かった。
だから私もあえて、こうちゃんと文化祭を回るのは私、“幼馴染”だと言って、
こうちゃんに1番
近い存在は私だということをアピール
した。すぐに一緒に居た男の子が

「こんにちは。楽しんでいってください。
 俺は華に学校案内しなきゃ
 ならないんで。行くぞ」

はなちゃんを引っ張る様にして
連れて行った。その後のこうちゃんは、
何か考えてる様な感じだったが、
こうちゃんの隣にいるのは私。
中学生だからと言っても他の
女の子の話をするのは嫌だ。
“はなちゃん”の話は避けて文化祭を
楽しんだ。

高校の卒業式が終わった後、こうちゃん
から告白された。すっごい嬉しかった。
やっとここまできた。これで名実共に
こうちゃんの隣は私だけ。

こうちゃんはいつも優しかった。たまに
“少しは自分で考えろ” 
“自分でもやってみろ”
と言われるも最後は手を貸してくれる。
ケンカをしてもいつもこうちゃんが
折れてくれて仲直り。それは大学を
卒業して社会人になっても変わらず。
私は、一番最初に内定が取れた所に
そのまま就職していた。学生時代は
バイトがてらお父さんの仕事を
手伝っていたが、就職先としては
選ぶつもりもなかった。
ある日お父さんから
“会社が上手く行っていない”と言われた。そんなこと私に言われても分からないし。あっ!でもこうちゃんに言えば
何とかしてくれるかも。
だって今迄だって私が困ってたら
助けてくれたから。
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