涙ノ結晶
「自己紹介まだだったよな?俺は神宮聖。高3。」

自己紹介をしてくれた彼に、自分も何かしなくてはと思い、学生鞄を漁る。

「・・ぷ」

「??」

「そんなに焦らなくてもいいのに」

焦りすぎてしまったようだ。
自分でも顔が熱くなるのがわかる。恥ずかしい。

「・・っっ!」

(あった!)

学生鞄の底にあった生徒手帳を見つけて、彼に名前を見せる。

「相川小牧、ちゃん?」

彼が私の名前を呼ぶ。
嬉しくて、大きく頷く。

「じゃあ小牧な」

「っ//」

(うれ、しい)

今の気持ちを言葉にすることが出来たら。
彼に伝えることが出来たらどれだけ幸せだろう。
声が出ないことで、友達が少ない私には名前で呼ばれるなんて滅多に無いことで。
そして、名前で呼ぶことも。

「俺の事は聖って呼べな?」

肯定の意味で、少し照れながら頷いた。






この出会いが




この会話が




この時間が




私にとって




大きな幸せであり




小さな希望だったんだ

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