総長様は可愛い姫を死ぬほど甘く溺愛したい。
(裕希side)
出会いは中学二年生。俺がまだ、学ランを着ていた頃のお話。俺はあの日初めて、桜十葉と裕翔に“出逢った”。
あの頃から、桜十葉はとても可愛くて、真っ白でふにふにとした頬に、大きな瞳。その瞳には沢山の涙が溢れていて、思わず抱きしめたくなったとのは、俺だけの秘密。
桜十葉の泣き顔に、柄にもなく興奮して、もっとこの子を泣かせたい、なんていう変態妄想までしてしまいそうだった。それくらい、桜十葉は俺にとって、運命的だったんだ。
桜十葉が中学生になったら、必ずまた会いに行こうってずっと思っていた。そう、決めていたんだ。
***
(桜十葉side)
二○○○年四月一日。朝。
『桜十葉〜!いつまでも洗面所にいないの!桜十葉はお母さんの娘なんだから、十分可愛いわよ』
『もぉ〜‼︎今はそれどころじゃないの!髪が寝癖だらけだよ』
生まれて早14年の月日が経とうとしている今日。私は今日、中学生になる。そして四月一日は、私の誕生日でもある日だ。私の髪は私自身の誕生日を祝っているかのように、ひどく爆発してしまっている。
なんで、よりによって、入学式の日に……!!
自分のストレートではないふわふわとした髪が、今日は一段と憎い。
『ほら、貸してみなさい。お母さんが何とかしてあげるから』