総長様は可愛い姫を死ぬほど甘く溺愛したい。
でも俺は、所詮はヤクザの息子で、桜十葉をこちらの世界に踏み入れさせてはならない。俺といることで、純粋で幸せな桜十葉の今を壊していってしまうかもしれない。
俺の恋人だなんて、いつひどい目に遭うかさえも分からないんだ。
その時、俺はちゃんと桜十葉の隣にいてやれているだろうか。ちゃんと、守ってやることが出来るだろうか。
『桜十葉、俺、……っ、桜十葉に出会えて本当に良かった……っ』
沢山の疑問が頭に浮かぶ。だけど俺は、もう、我慢しないって決めたんだよ。この二十一年間、俺が幸せを感じられた日なんて、桜十葉に初めて出会った日だけだった。
『これからもずっと、俺の側にいて───、俺から離れて行こうと、しないで』
正直めちゃくちゃカッコ悪かったと思う。涙を流しながら乞う男の姿なんて、……。
でも、桜十葉は、そんなことを思うような子じゃないと思っているから、安心してしまう。
これから、よろしくね。桜十葉。
そして、俺と桜十葉が一緒に居られる時間の、カウントダウンを始めよう────。