総長様は可愛い姫を死ぬほど甘く溺愛したい。


夏ももう、終盤を迎えようとしていた。八月から十月までの三ヶ月という長い夏休みを終えて、今はもう十一月。最近は涼しくなる日が増えてきていて、春服から中間服に変えたのだ。

ふふっ。裕翔くん、喜んでくれるかな。ベッドの上にはまだすやすやと気持ち良さそうに眠っている綺麗な顔の裕翔くん。眠っている間も、その綺麗なお人形のように安らかな表情が崩れないなんて、すごく羨ましい。

私は裕翔くんに初めて見せる中間服を早く見てもらいたい一心で、朝から鼻歌まで歌ってしまっていた。

朝ごはんの準備をして、食卓にパパッと作った卵焼きやサンドイッチを並べる。制服に着替えて、学校の準備をしてから、裕翔くんがまだ眠っている部屋に向かった。

お母さんたちが海外旅行に行く時に、私のお()りが裕翔くんに託された。しかしそれは一時的なものではなく、いわゆる、ど、同棲…という風になってしまっていたのだ。

だから、前々から話していた通り、一条はこれを機に柊 はのんさんという恋人の元へ行ってしまった。

やっぱり少し寂しいけれど、一条にだって幸せになって欲しいもん。そして会ってあげていなかった分、はのんさんを存分に甘やかしてあげて欲しいな。

私はそんな呑気なことを思いながら、部屋の扉を開けた。

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