総長様は可愛い姫を死ぬほど甘く溺愛したい。
正直、すごく怖い。自分の中に明梨ちゃんと親友だったという記憶が全く無くて、それで明梨ちゃんを傷つけてしまったという事実が。
「ねぇ、……私のこと、思い出せ、ない……?」
明梨ちゃんは、すごくすごく泣きそうな顔をして言った。
「う、うん。……ごめんね」
中庭に、静かな空間が流れる。今は昼休みだけど、中庭には生徒たちの喧騒は聞こえてこない。
どうして、私は忘れてしまっているのだろう……?
最初は、そんなの嘘だと思った。入学式の日に突然話しかけられて、私たちは親友だった、と言われたことが正直信じられなかった。
でも、今は違う。明梨ちゃんの瞳は、表情は、嘘をついてなんかいない。
「でも、思い出してみたいとは思ってる」
私がそう言うと、明梨ちゃんの瞳が大きく揺らいだ。
「だから、私と明梨ちゃんが親友だった時の話、聞かせて欲しい」