総長様は可愛い姫を死ぬほど甘く溺愛したい。
私の家は平屋建築の御屋敷なので階段を上ったり下りたりする必要はない。
朝イチに洗面所で顔を洗って乳液をたっぷりとつける。そうしていると眠そうなお母さんが起きてきた。
「ふぁ〜。今日は早いのね〜」
「お母さんこそ。それより昨日は眠れたの?」
「ん〜ん。ちょっと疲れてるのかしら……」
朝だからなんなのか知らないけれどお母さんの様子がおかしい。
「お母さん、具合悪い?」
「んー、ちょっとキツイかなぁ」
そう言ってお腹の辺りをさすっている。
もしかしてお母さん……、
「桜十葉、……私、妊娠しちゃったのよ」
「え!?」
妊娠!?それって私に弟か妹が出来るってことだよね!?
私の予感は見事に当たり、開けた口が塞がらない。
「いつの間に!?てかなんで早く教えてくれなかったのさ!!」
「えぇ〜、なんか蒼空がねぇ。妊娠してることはまだ桜十葉には教えるなって言ったの」
「そうだったの!?もう!お父さん!!妊娠してるのになんでそのこと教えてくれなかったのよ!お母さんも!」
「桜十葉、蒼空のことは許してあげて。私、最近あの人に禁欲ばかりさせていたから、…」
き、禁欲……?
ん、禁欲ってなんだろう……?
でも、もうダメだ……。
この人たちになんと言おうが私の意思なんてどうでもいいらしい。