総長様は可愛い姫を死ぬほど甘く溺愛したい。
「じゃあ裕翔、ぴったり一時間だからな!あっちは俺たちより弱いから文句言えないだろうけど、さすがに遅れるのは容赦しねぇぜ!!」
「……ああ。分かってる」
來翔くんのいつも通りの明るい声に少しだけ裕翔くんの口が緩む。
二人だけの大広間。しんと静まった空間に、私たちの吐く息だけが響いている。
「桜十葉、ここは寒いから暖かい部屋に行こう」
裕翔くんの目は、もう揺れていなかった。何かを覚悟したように、そして何かを諦めたように、真っ直ぐな瞳をしていた。
「う、うん……」
そうして、私たちは暖房の入っている最初にいた部屋に行った。