総長様は可愛い姫を死ぬほど甘く溺愛したい。


「桜十葉。こっちにおいで」


裕翔くんが先に部屋に入って、ベッドに座る。私の心臓はドキドキしていて、裕翔くんに近づいていく度にそれは大きくなっていく。

裕翔くんは両腕を広げて、優しい顔で私を待つ。

私は耐えきれなくなって、裕翔くんの腕の中に飛び込んだ。陽だまりのような温かい匂いに包まれて、幸せな気持ちになる。

裕翔くんは私の唇に優しく口づけをして、自分の膝の上に座らせた。裕翔くんは後ろから私を抱きしめる。


「桜十葉、ごめんね…」


私を抱きしめる力を強くして、裕翔くんが声を震わせながら何かに対する謝罪をする。でも、私にはその言葉の意味が分からなくて、何て返せばいいのか分からない。


「何が?」

「昔のこと。俺は、…桜十葉に酷いことをしたんだ」


裕翔くんの話している内容が、全く分からなくて不安になる。


「酷いって、……どういうこと?」


私は、何か大切なことを忘れている気がする。明梨ちゃんのことや、昔付き合っていたという裕希さんのこと。

裕翔さんとも、昔に何かあったのだろうか……?裕希さんは裕翔くんのお兄さんだと言っていた。


「本当は、ずっと隠しておきたかったんだ……でも、兄貴だって、ちゃんと自分の犯した罪に向き合っている。それなのに、俺だけがこんなに幸せな気持ちになっちゃ…だめなんだ」

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