総長様は可愛い姫を死ぬほど甘く溺愛したい。
桜十葉は、解離性健忘という記憶障害だと診断された────。
解離性健忘とは、心的外傷やストレスによって引き起こされる健忘(記憶障害)のことで、自分にとって重要な情報が思い出せなくなるという。
記憶に空白期間がみられるが、その長さは数分から数十年にも及ぶ場合があると医者は深刻そうな表情をしてそう言っていた。
そしていつか桜十葉は、心的外傷後ストレス障害、通称PTSDに見られるフラッシュバックを引き起こしてしまう可能性が十分に高いとも言われた。
『んだよ、それ……』
俺から話を聞いた裕翔は、病室の椅子に座った状態で頭を抱え込んだ。
あの後、俺たちは命からがらに桜十葉を担いで倉庫から抜け出し、脱出に成功した。
すぐに救急車を呼んで、桜十葉は病院に運ばれた。俺たちも体中に所々傷を負っていたせいか、救急隊員の方に病院に行くように迫られ、桜十葉と一緒の救急車に乗ったのだ。
俺たちは、桜十葉の兄ということにしておいた。
桜十葉の記憶障害の名前が分かって、2時間が過ぎていた。面会が後少ししたら許されるらしいから、俺たちは1人ずつ行こうと決めていた。
『じゃあ、裕翔。行ってくる』
心の動悸が治まらない。ドクドク、と嫌な音を心臓がたてる。
(www.msdmanuals.comより引用)