総長様は可愛い姫を死ぬほど甘く溺愛したい。


俺は必死になって走った。もうすぐで、俺の長年の願望が叶うかもしれないから。

兄貴の顔を見て、少し怖くなった。俺もいつかは、こんな気持ちを味わうのかと思ったから。だけど、それでも、俺も桜十葉が欲しかった。

桜十葉に、俺のことを思い出してほしかった。

公園に着き、俺は乱れた息を整える。


『はぁっ、はぁっ……』


汗を拭って、服装を正した。

そこには、まだ中学三年生の桜十葉が居た───。


『こんな所に一人でいたら悪い男に連れてかれるよ?』


思ったよりも低い声が出た。今、すごく興奮している。

桜十葉は大きくて綺麗な瞳を限界にまで見開いて、驚いたように俺を見つめていた。


『何、俺の顔に興味ある?』


言っていて、顔から火が出そうなくらいに恥ずかしくなる。これまで女の子と付き合ったこともなかったし、ましてや話すこともあまりなかった。


それなのに、俺は今、そんな女の子に自分の顔に興味があるのかという恥ずかしすぎる質問をしている。

桜十葉の前だと、俺は頭のネジが外れてしまうのかもしれない。


『彼氏に振られた女なんかに声掛けても、何もいいことなんてないですよ?』

『へぇ〜、彼氏に振られちゃったんだ。それは可哀想に』

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