総長様は可愛い姫を死ぬほど甘く溺愛したい。


お昼休み。みんながそれぞれワイワイ楽しんでいる時間。


「よし!大丈夫!」


私はそう自分に勇気付けて、倉本明梨ちゃんがいるクラスに向かう。

あっという間に日は過ぎていき、今はもう冬休みに入る直前。冬休みに入る前に、必ずしておきたいことがあったのだ。


「倉本明梨ちゃん居ますか……?」


明梨ちゃんは、私のクラス、一年E組の隣の一年D組だ。

噂によると本当は中学当初、明梨ちゃんも私と同じ特進クラスだったらしい。だけど明梨ちゃんはお父さんの大企業会社を継ぐために今年はフランスに行く予定があったらしく、クラス替えをしてもらったそうだ。

そう言えば、そうだった。明梨ちゃんを見たのは入学式の日だけ。それから七か月くらい学校に来ていなくて、話しに行こうと思っても行けなかったのだ。

だからあの日、突然明梨ちゃんが教室に居る私に声をかけてきたことにすごく驚いたんだ。

ちなみに、明梨ちゃんのお父さんが経営している会社というのが、世界でも有名な服のブランド会社だそう。本当に、この学校の情報網はすごい。


「えっ!結城さん来てんだけど!!なんで!?」


私が恐る恐るD組に顔を出すと、途端に騒がしくなる教室。


へっ……!?何この状況……!!

なぜかみんながこちらを見ている。こんなに注目されるとは思ってなかった。

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