総長様は可愛い姫を死ぬほど甘く溺愛したい。
俺には、入学当初からずっと好きだった女の子がいる。
真っ白な肌に、ピンク色の頬。下から見つめてくる上目遣いをする大きくて綺麗な瞳。さらさらの長い黒髪。そして、とても優しい性格。
俺が好きになった子は、入学当初から学校イチの美少女────結城桜十葉ちゃんだった。
純粋な彼女に、一瞬にして惹かれた。一目惚れ、だったんだと思う。優しくて可愛い笑顔をみせてくれる君を気づけば大好きになっていた。
純粋な彼女を俺で汚したくてしょうがなかった。だけど、その恋は淡く、失恋に終わった───。
桜十葉ちゃんへの想いは、告げることのできないまま叶わぬ恋となった。
桜十葉ちゃんが、あの坂口組の組長の息子、坂口裕翔の彼女だと知った途端、勝手に失望して落ち込んだ。
それ以来、桜十葉ちゃんの顔を見ることが出来なかった。桜十葉ちゃんも気づいていたと思う。俺が避けていることを。
不意に見た桜十葉ちゃんの顔がすごく寂しそうにしていたから、すぐに目を逸した。
だって、そんな顔されたら期待してしまうじゃんか……。
俺に避けられて悲しいと思っている桜十葉ちゃんを、もう一度好きになってしまいそうだった。
「あははははっ!もお〜こしょばいってば〜!」
廊下を歩いていると突然聞こえてきた楽しそうな声。その声は、俺がずっと求めていたもので思わず声のした方を振り返った。