総長様は可愛い姫を死ぬほど甘く溺愛したい。


今日は、私の十九歳の誕生日だ。条聖学院での幼児部から高等部までの教育課程を終えた私は、首席として卒業した。私は大学部まで進学は出来ない。

なぜなら、両親の経営する会社の正式な見習い社員となるからだ。社長の娘だからと言って、甘えることは許されない世界に私はこれから飛び込んで行く。

高校二年生、三年生では私の親友である明梨ちゃんと朱鳥ちゃんと同じ特進クラスだった。三人で毎日仲良くお喋りをしたり、偶に遊びに行ったりした。

そして真陽くんとも友達のまま、変わらずに喋ることが出来ていた。

私はこの三年間、裕翔くんの家から条聖学院まで登校していた。体を重ねることも、一緒にお風呂に入ることも一度もなかった。

だけど、私たちの絆は三年前よりもより強硬なものとなり、愛おしいと思う気持ちも倍増した。


「桜十葉。今日の夜、ホテルのディナー予約してるからね。あと桜十葉にドレスも買ったよ。あと沢山プレゼント用意してる」


裕翔くんはきっと、サプライズというものを知らないのだろう。裕翔くんの家の大きなリビングの机で、ニコニコとした表情でそう話す裕翔くん。


「え、そうなの……!?え?ど、ドレス…!?悪いよ…」


私はさっきからこんな調子で(ども)り続けている。


「ううん、安かったんだから大丈夫だよ。それに、俺が桜十葉に着てもらいたくてプレゼントするものなんだから」

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