総長様は可愛い姫を死ぬほど甘く溺愛したい。


隣に座っていた明梨ちゃんが目を赤くさせて、私の頭にポンと手を置いた。その手付きが優しくて、私はまた泣いてしまった。


「二人とも、本当にありがとう。俺、今まで悩んでたこと全部、綺麗さっぱりなくなったよ」


裕翔くんは私の手に自分の手を重ねて、明梨ちゃんと朱鳥ちゃんにそう告げた。そう言いながら笑った顔は、ひまわりが咲いたかのように温かくて、慈しみで溢れていた。

私たちはまだまだ幼くて、他人の言葉にすぐに傷ついて、何かにがんじがらめに縛り付けられてしまう。

私は今日、まだ成人にもなれていないただの十九歳の女性になった。

辛く悲しい暗闇の中にあった過去を乗り越えて、その先にある光を信じようとした。

でも、それを乗り越えた今だからこそ言える。

裕翔くん。あなたが居るこの世界は、




こんなにも、温かくて、美しい─────。




抱えきれないほどの幸せをもらって、その分だけの幸せを裕翔くんにあげる。それを繰り返して、一緒に年をとり、いつまでも一緒に生きていたい。

こんな風に思ったのは、あなたが初めてなんだ。

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