総長様は可愛い姫を死ぬほど甘く溺愛したい。


「愛してる、桜十葉。今も昔もこれからも、ずっと。俺は桜十葉だけが欲しい。どうしようもなく」


自分は何を言っているんだ、と情けなく思う。桜十葉は鈍感だから“昔も”なんて言葉に気づけない。

きっと……。

俺は桜十葉にキスする事で、桜十葉の事を愛していると伝えているはずだったが、やはり桜十葉はそんな事に気づいてなどいなかったのだから。


「大丈夫。そばにいるから」


とても優しい顔をして、俺を安心させてくれる彼女は、どれだけ俺に、無償の優しさを与えてくれるのだろう。

どんなに大きな嘘を包み隠さず話そうとも、俺はまた嘘を重ねて、桜十葉が俺から離れられないようにする。

俺は何度も何度も、そうやって嘘を付くんだ……。

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