総長様は可愛い姫を死ぬほど甘く溺愛したい。


昔話。

それは俺が黒堂に入学して今のような暴走族という形になった経緯のこと。

今まで、人から避けられ、自分も人を避けていた俺に心から信頼出来た仲間がいた。

それが、山海滉大と如月來翔。

この二人だった。


『おい、裕翔!俺達で暴走族を作らないかっ!?』


そういう話を持ち出してきたのは來翔からだった。


暴走族。

……父さんが許してくれるだろうか。

でも言わなければいい話。そう思って、俺はその話に乗った。


『ああ、いいな』

『俺も賛成だ。楽しそうだし』


いつもお堅いイメージがあった滉大が同意した事にはとても驚いた。


『んー、チーム名は……KOKUDO(こくどう)?』


滉大の単純すぎるチーム名の思いつき方に俺と來翔は大爆笑だった。

でも、そんな風に高校の名前をチーム名とした暴走族が日本中で最強と知られる暴走族になるなんて、この時には思いもしなかった。

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