Evil Revenger 復讐の女魔導士 ─兄妹はすれ違い、憎み合い、やがて殺し合う─
「どうした? どこから来たんだ、お前?」

 近づいてくる私に、声を駆けてくる見張りの兵士の警戒心は薄そうだった。
 正体さえわからなければ、私はただの小柄な女に過ぎないのだから、当然かもしれない。
 飲み水を分けてもらえませんか? と弱々しい声で聞いた。
 実際心は弱り切っていたのだから、不自然には聞こえないだろうと思った。
 兵士2人は顔を見合わせる。

「……仕方ないな。聞いてきてやる」

 人の良さそうな兵士が、そう答えた。
 だが、彼が陣の奥へ引っ込もうとすると、もう1人が呼び止めた。

「待てよ。この辺りの住民に白い肌の人間はいないはずだ。おかしいぜ」

 言われて、ハッとなり足を止める。

「確かにそうだ。お前何者だ?」

 次の瞬間、彼らは赤い剣で喉と心臓をそれぞれ斬り裂かれていた。
 それらは一瞬のもとに実行したつもりだったが、彼らが呻き声を上げるのを許してしまった。
 騒ぎを聞きつけて、奥から人が顔を出し始める。
 失敗した。肌の色まで徹底して隠すべきだった。だが、元々衝動的に飛び出してきた上での行動だったのだ。こうなるのは必然だったのかもしれない。
 すぐに姿を見せたのは、救護や炊事を行う女性達、非戦闘員だった。
 彼女達は私と倒れた兵士を見比べると、悲鳴を上げて逃げ出した。
 即座に走り寄り、背中を斬りつける。黙らせたのは3人。だが、もう遅かった。
 悲鳴を聞きつけて、さらにぞろぞろと人が現れる。
 立ち向かうか逃げるか、決断するのは今だった。もたもたしていると、逃げるチャンスを完全に失う。
 だがおかしい。次々と姿を現す殆どは、先ほど見たような非戦闘員ばかりで、兵士達の数は圧倒的に少なかった。
 兵士達は槍や剣を構え、私を取り囲もうとする。
 私はそれをさせる前に動いた。魔力剣でいつものように相手の槍を無力化し、2人、3人と斬り裂いていく。
 もうかなりの騒ぎになっているはずなのに、兵士は大した数まで増えていなかった。
 まだ多くが寝静まったまま、とは考え辛い。敵襲となれば、慌てて皆を起こして回るだろう。
 多くの兵士が出払っていると判断して間違いない。早朝から砦を奇襲するつもりなのかもしれない。
 剣を持った兵士の手首を斬り飛ばし、悲鳴を上げたところを斬り捨てる。
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