身代わり少女は主人を慕う
「そこまで言われたのなら、仕方ないわね。」

「お母さん!」

音羽さんと堂崎さんは、手を合わせて喜んだ。

「その代り、屋敷に帰って来なさい、音羽。堂崎さんも。」

堂崎さんが、奥様を見た。

「今度は正々堂々と、この屋敷にいらっしゃい。」

「はい。」


私は立ち上がって、思い切り拍手をした。

「よかった、音羽さん。よかった。」

堂崎さんが好きで、お見合い相手と結婚したくなくて、一人家を出て行って。

どんなに、心細かったか。

それを支えたのが、堂崎さんだったんだね。

もう、素敵な恋物語を見せられて、私の目からも涙が出てくる。


「あなたが、うたさん?」

音羽さんが、私に近づいてきた。

「私の名前を知っているんですか?」

「ええ。はやてさんに、教えて貰ったわ。あなたが、私のいない間、代わりをしてくれているのだって。」
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