身代わり少女は主人を慕う
志麻さんが、耳の側で教えてくれた。

「これからは、お家の事、そっと耳打ちしますから、聞き逃しのないように。」

「は、はい。」

着物を着せた私に、志麻さんは帯をぎゅっと締めた。

「大丈夫です。私が付いてますから。」


素直に、はいとは言えなかった。

何だろう。

亮成さんも志麻さんも、将吾さんみたいに、瞳の綺麗な人じゃない。

直ぐに信じていいのか、迷う。


「髪も、結い直しましょうね。」

私よりも、少し上に見える志麻さんは、私が結わえた髪をほどくと、器用に結い直した。

「ほら、これでお嬢様にそっくりですよ。」

志麻さんはそう言って、私に鏡台の鏡を見せてくれた。

なるほど。

顔が白く見えない以外は、お嬢様に見えなくない。


「志麻さんは、お嬢様に仕えてらしたんですか?」
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