星降る夜の奇跡をあなたと

誕生日計画

8月上旬、私は悩んでいた。
何かと言うと、蓮の誕生日の事だ。
蓮は私の誕生日をあんなに素敵に
祝ってくれたのに、私はどうすれば
いいのか全く思いつかない。
しかも夏休み中とあって、ほぼ一緒に
過ごしているのに、サプライズなんて
用意出来るわけもなく。でも祝いたい、
喜んで欲しい、驚かせたい。
私が今の時期に1人で出掛けるなんて
買い物位だ。それも、時間が合えば
蓮も付き合ってくれる。
っとなると、やっぱり1人で買い物する
機会に何かを準備するしかないという
考えに至り、買い物の度にお店を見て
廻り、誕生日のヒントを探していた。
毎回、同じところで買い物をしていた為、
違う所へでも行ってみようと、その日は
ショッピングモールがある方向とは逆側に
足を踏み入れてみた。初めて来たが、
こちらはレトロな感じで個人店が
多い様だった。その中に可愛らしい建物の
ケーキ屋を見つけた。壁には
“あなたのイメージするケーキを作ります。
見ても食べても美味しいケーキ”
と書かれているポスターがあり、
思わず引き込まれた。
店内は奥が厨房だがガラス張りで
見える様になっており、
手前がショーケースとなっていた。
私が入るとすぐにお店のスタッフが
声を掛けてくれ、私は外のポスターに
ついて聞いてみた。私のイメージを伝えると、作れるとの事でお願いする事にした。
ケーキのイメージなんて考えて
なかったが、すんなり出てきた。
ケーキを先に決めてしまった事で、
外食の選択肢がなくなった。だったら、
背伸びせず、自分が出来る事をしようと
決めた。
それからは、1人で買い物の度に、
装飾品や賞味期限のもつ食材を
少しずつ集めた。
蓮は毎日勉強で部屋に籠もる時間が
ある。準備をするならそこが
チャンスだと意気込んだ。
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