拗らせLOVERS
卒業式 当日


結局、碧斗の制服のボタンもワイシャツのボタンすら全部綺麗に取られていた


やっぱり
余る訳ないか
足りない位だし…

「陽和~、一緒に写真撮ろうぜ」
携帯を片手に碧斗が走って来た


「追い剥ぎに会ったみたいな碧斗と写真撮りたくないし!」
私は呆れてため息をついた


「いいじゃん、照れるなよ」
碧斗が私の肩に手を回し引き寄せた

えっ!

驚き顔の私と笑顔の碧斗が碧斗の携帯の中におさまった

「あ、ちょっと!あたしブサイクじゃん!消してそれ!」

「後で陽和にも送ってやるよ」

「いいよ!送らなくて!」
つい、意地をはってしまう


「あ、陽和」


「?」


「手、出して」

私は右手を差し出した

コロン…


え?


手のひらには制服のボタンが1つ



「余ったからやる」

え?
ええ?
えええ?

余った?
いや、足りないでしょ!

「ありがとう…」
とりあえずお礼を言った



「じやあ、みんなと写真取ってくる」
そう言って碧斗は男子の群れの中に消えた


これって

何番目のボタン?


ま、そんな事はいいか

1個もらえたし





「ねえ、碧斗先輩の第2ボタン誰ももらえなかったよね」

「卒業式の後、もうついて無かったらしいよ」


私の後ろを通り過ぎていくサッカー部の1
年生のマネージャーが言った


え?

それって…

もしかして
私は右手の中のボタンを見つめた


これ、第2ボタン?

嘘!

マジで?

でも、これが本当に第2ボタンかは解らないよね
余ったからって言ってたし
最後に残ったボタンかも


それでも思わず顔がニヤニヤとニヤけた



後日、碧斗に何番目のボタンなのかたずねたが


「そんなの覚えてねえよ」

と、面倒臭そうに言われた



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