拗らせLOVERS
千尋は高校でできた始めての友達

明るくてハッキリとした性格の彼女は私の憧れでもあり、良き理解者でもある

碧斗への気持ちを知っているのも千尋だけだ

「今日もサッカー部寄って行くんでしょ?」
千尋がニヤニヤして言った


「ちょっと、やめてよ!そのニヤケ顔」
 

私達は、さっき作ったマフィンを抱えグランド脇を歩いていた


「だいたい桐野くんもハッキリしろってのよ」

「え?」

「どう見たってヤツは陽和の事好きでしょ!」


「な、何言ってるの!碧斗はあたしの事はただの幼馴染としか思ってないし」


「そんな事ないって」


「千尋は私を応援してくれているから、そう見えるだけで、でもそう言ってもらえると嬉しい」


「絶対そうだって!だって1年の時、桐野くんと陽和付き合ってるって噂だったよ」

「いや、すぐただの幼馴染だってみんな思ったじゃん」

「確かに」

「実は最近『このままでもいいのかなあ』とか思っちゃう時あるんだよね」


「どう言う事?」


「だってさ、一緒に登校したり電話したり家にご飯食べに来たり…ある意味付き合ってる以上の関係な訳で、別に彼氏彼女とかこだわらなくても幸せかな~とか」


「甘いな、陽和は」


「え?」

「今はいいよ、でも桐野くんに彼女できたら今まで通りなんて無理だよ」


「碧斗に彼女…」

確かに!
あいつ、モテるのに今まで彼女がいなかった事の方がおかしい位だし!

明日にでも出来たっておかしくない

そしたら、私達の関係って?


「どうしよう!千尋」

「でしょう〜、そんな『幼馴染でいいの』
とかいってる場合じゃないわよ!それに…」


「それに?」


「付き合ったらチュウ出来るよ」
千尋がニヤニヤしながら言った


「はあ?」


「イチャイチャしたりハグしたりチュウしたりセッ…」

私は思わず千尋の口を両手で押さえた


「ストップ!ストップ!それ以上は許容範囲超える!って言うか既に思考回路オーバーヒートだから!」
私は真っ赤な顔で答えた


「ま、そういう事よ!『付き合ってる』って事はね、確かに桐野くんと陽和は仲良しだけどね…ん?まさかキスしたりしてないよね?」


「ない!ない!ない!ない!ある訳ないじゃん!」


「いや、あんまりあんたら仲良いからもしかしてって考えちゃったよ」


「ないよ!ある訳ないじゃん、ほぼ兄妹みたいな関係だよ、兄妹でキスとか気持ち悪いしありえない!」

「確かに」

「ま、待って!それって、あたしとキスなんて気持ち悪いって、もしかして思われてる?」


「え?いや、それは…どうだろ?」


「千尋〜、そこ疑問符で返されるとめっちゃ自信なくすじゃん!」


「だから、告白して…」


「無理!絶対フラれる!フラれたら今の関係さえ壊れる!それは嫌!」 


「まあ、決めるのは陽和だからね、でも後悔しないようにね」


「うん…」

だからって、今のままで良いとも思ってないんだけど


「あれ?桐野くんじゃない?」


千尋が指さした先にグランドでサッカーをする碧斗がいた
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