拗らせLOVERS
嵐の予感
3年1組

私はラッピングされたタオルを抱えたまま
3年生の教室の前を、もう5分も行ったり来たりしていた


渡せない!


っていうか、月島先輩を呼び出す事すらできずにいた


「やっぱ、部活の時に碧斗に呼び出してもらって渡そうかな~」


私は階段の影から、3年1組の教室の出入り口を覗いていた

「あれ?陽和ちゃん?」

「うわっ!!び、びっくりした!」
突然、後ろから声をかけられおどろいた


「ゴメン、びっくりした?」

そう言ってクスクス、珠里さんが笑っていた


「心臓が止まるかと思いましたよ」


「プレゼント?」
珠里さんが私の手に持ったラッピングをジッと見つめて言った

「あ、月島先輩に…」 

「月島に?」

「タオルこの間汚しちゃったから、代わりに…」


「あー、球技大会の時ね」


「はい、でもなかなか渡せなくて」


「月島、呼んで来ようか?」


「え?本当ですか」


「うん、いいよ」

私は珠里さんの後ろに隠れながら教室の後ろのドアに立った


「月島〜」


「あ?何?珠里」

窓側の後ろの席に座っていた月島先輩がこちらに気づいた


「ちょっと、ちょっと」

珠里さんが手招きをすると、かったるそうに月島先輩がこちらに歩いて来た


「え?」

珠里さんの後ろにいた私に気づいて驚いた


「えっと…」
月島先輩は誰だっけ?みたいな、けげんな顔でコチラを見た

「陽和ちゃん、碧斗の彼女」
珠里さんが私を前に押し出して言った


「違います!幼馴染です!」
私は大きな声で否定した


「あー、この間の鼻血の!」


私は持っていたタオルを月島先輩の胸に押し付けた

「この間はありがとうございました!タオル汚してしまったので、これ同じの買ったので使って下さい!」


「そんな事気にしないくていいよ、あのタオルもう使い古しだし、わざわざ新しいの悪いよ」

「いえ、お願いです!受け取って下さい!」

困り顔で月島先輩がタオルを受け取った

「なんか反対に申し訳ないなあ」

「そんな事ないです!本当に助かりました月島先輩に感謝感謝なので」

「そっか、じゃあ ありがたく頂くよ」
月島先輩が優しく笑った

「唇のキズは大丈夫?まだ絆創膏してるんだね」


「あ、もう殆ど治ってます!」

「女の子なんだから顔のキズは気をつけてね」

「は、ハイ!」

や、やっぱ、プリンス!カッコいい!!

オマケに優しすぎ〜



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