たぶんあなたの子です？　認知して下さい！
✴︎


賢次の泣き声で目が覚めた。

まだ暗い時間。

起きあがろうとすると、体が痛くて、重いものに囲まれていた。
秀斗さんの腕だった。

彼が横に寝ていて何も着ていない、ああ、そうだ、彼を愛したんだ。
泣きそうになりながら、やっと起き上がれば、横で秀斗さんも起き上がったのが分かった。

賢次が、

［うぎゃぁぁぁぁ］

とすでに本泣きに入ってしまっている、あわてて着るものを探るうちに、秀斗は一糸も纏わずすくりと立ち上がり、羽織ものを手に賢次のいる部屋に向かって行く。

何とか見つけた部屋着の袖を通しながら、痛む体で立ち上がれば、まだ彼の名残を体に感じてその違和感を消したくないと思った。やっと隣の部屋に行けば、布団に包まれた赤ん坊を秀斗さんが抱いてあやしていた。


「横になっていればいい」


と彼は言った。


「まだ、体が辛いだろう？　」

「あ⋯⋯ 　」


ハジメテした朝、彼にもわかってる。
ふらりとした。


「寝ていろ」


と言われて布団に戻った。
まだ温もりが残る、昨夜の愛し合った後の布団に戻れば泣きたいほど彼を感じる。

どう思ったかな。

あり得ないことがわかって彼はどう思った？
賢次を生んだ事はあり得ないとわかって、それでも今、彼は隣の部屋であやしてくれている。

彼だけなんだと分かって、私はそれを知られて嬉しい。

でも訳の分からない嘘をついてる私を、彼はどう思っただろう。


< 18 / 25 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop