眠りにつくまで





今日の墓参りは早朝ではないが冷え込みの激しい日ではある。

「途中でカイロ買おうか?」
「車の方が長い時間だからいい」
「そう?帰りはスーパーに寄るな」
「あんなに冷蔵庫がいっぱいだったのに5日間で結構使ったね」
「お品書きから、アボカドサラダとライスコロッケを注文したいのですが?光里シェフいかがでしょう?」
「ふふっ…スーパーに寄るならもちろん…食堂オープンしますよ?」
「やった。ワインメニューだな。楽しみ」
「昨日和食だったからちょうどいいね」
「昨日の筑前煮、めちゃうまって感じだったな」

普通のご飯に聖さんが声を弾ませてくれるので料理がますます楽しくなる。前もってのオーダーを承り、あと一品何を作ろうかと考えるうちにお寺の駐車場に到着した。

それほど人がいる様子でもなくいつも通りお参りをする。

‘樹…クリスマスにね、言われたの。私と聖さんが出会ったのはここにいる人に導かれたんだって…その時に気づいたの。本当に樹が導いてくれたんだよね?だってあのハンカチ、樹がくれたものだもの。ありがとう、樹…ありがとう’

そして知った人には誰にも会わず、聖さんと私が駐車場へ戻ろうとした時にお寺の方から出て来た人が

「三鷹さん、来てくださっていたんですね。ありがとうございます。お久しぶりです」

そう聖さんに頭を下げた。
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