眠りにつくまで
聖パパ





光里が入院中の年末、俺は仕事をし続けた。そして1月中はクライアントに出向く以外は家で仕事をすると決め、玲央に今までと違う役割分担を承諾してもらった。

光里は里帰りをすることなく、聖斗と一緒にこのマンションへ帰ってくる。産後の体を休めるために、基本家事は禁止。聖斗に母乳を与えるという光里にしかできないことだけすればいい。

戸田のお母さんが週2回、俺の母さんが週3回、平日は通ってくれるというシフトも出来上がっており、何とも心強い。戸田のお母さんが3回の方がいいかと思ったが、光里が俺の母さんに遠慮がないと言うので距離的にそういう配分になった。戸田のお母さんが仕事を調整してくれたこともよくわかっているので俺たちは本当に感謝すべきだと思う。

そして1月の墓参りに初めて光里が行けなかったが、俺と戸田の両親とで一緒に樹くんの墓参りをした。戸田の両親が、自分たちが久しぶりにお参りできたことと俺と一緒にということをとても喜んでくれたので良かったと思う。

マンションに帰ってきた光里と、うちの住人となった聖斗が快適な室温に全部屋を温め加湿する。夜中に起きることもあるのでもちろん24時間同じ室温と湿度を保つが俺には春の気温だ。

「あっ…ちょっと出たけど…いいか…ゲップ出来たね、聖斗」

光里が授乳後にいつもの静かな調子で言うのを、パソコンに向かいながら聞き穏やかな幸せに包まれる。

「聖斗、寝るだろ?見ておくから光里はシャワーしておいで」
「ありがとう。そうするね」
< 304 / 325 >

この作品をシェア

pagetop