Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜
「待って、それ私に出来ると思ってるの?」


あの時綺月が言った言葉は間違いなく本音だ。

だってそれ以外になにがあるっていうの?

本音じゃなかったら、あの言葉は全て嘘ってことなんだよ、ありえない。

本音を吐かせるなんて絶対私には出来ない。


「出来る、家族だろ」


カオルに初めて会った時、あの全てを見透かす目が怖いと思った。

その時の目を、久しぶりに向けられた気がした。

出来ないじゃない、出来るまでやれ。

そう言われているような気がした。

私は爪が皮膚にめり込むほど、強くギュッと手を握った。
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