Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜
「ふざけんなよ」


静かに聞いていたカオルが、もう我慢出来ないと怒りに震えた声で口を開く。


「お前はまだ何もしてねぇだろ、勉強以外何もやってねぇだろ!」


カオルが私の肩を強く掴んだ。


「これから探せばいいだろ!
自分の出来ること、やりたいことをゆっくりと探していけばいいだろ!」


カオルの強い言葉は私の深く傷ついた心を包んでくれるようだった。


「お前はもう自由なんだよ」


いつまで支配されてるんだバカ、と言われてる気がした。


「これからのお前は全部お前だけのものだ」


奥深くに刺さっていた刃物のような言葉は、カオルの強い言葉に負けて消えていく気がした。


「お前の人生は、お前だけのものだ」


これからの人生は、私だけのもの──。


< 184 / 401 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop