【SR】幸せな結婚

英太の両親と同居の新婚生活がスタートした。

英太にはもう一人家族がいる。

年子の妹なのだが、去年突然家を出て、以来北海道で一人気ままに生活を送っており、実家には年に一度帰ってくる程度だ。


「まったく、あの子ったら気まぐれ娘で親をハラハラさせてばかりなのよ。

その点、亜弥さんはしっかりしてよく気が付くし、本当の娘だったらいいのにってずっと思っていたわ。

これからは、そのつもりでどうぞよろしくね」


英太の母親は亜弥をとても気に入っていた。

気品溢れる義母はまだ42歳。

高貴な香りのするパフュームに身を包み、フラワーアレンジメントやヨガなど、いくつもの趣味にいそしんでいる専業主婦だ。


亜弥はそんな義母が少し苦手だった。

強い物言いもあまり好きではなかったし、崩れのない体型、完璧な美貌は同じ女性として嫉妬を覚えるほどだからだ。


でも、争いごとはしたくない主義だ。

笑顔でただ頷くのが一番いい方法だというのを随分前から会得していた。

おかげで、義母への内なる思いに気付かれることもないまま、いい関係を保っている。

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