総長は、甘くて危険な吸血鬼




「血、貰うね」


叶兎くんがそう言った後一瞬牙が刺さった痛みを感じたけど、痛みはすぐに消え去った。


な…なんか、前よりももっと、熱い…

何回かは吸われてきたけどやっぱりこの感覚には慣れない。


痛いような、熱いような、心地良いような、

吸血される時に全身を巡るようなこの熱が気持ち良い。


「…ちょっと血甘くなってる」


血が、甘くなってる…?

恋する乙女の血は、普通よりも甘いらしい。
その意味を体中で実感する。

私、やっぱり…


「ねぇ。…俺の事、好きになった?」


血を飲み終わった叶兎くんが、私の右頬に手を添えて

じっと、私を見つめた。

私の言葉を待ってる、

私は…

私は、叶兎くんのこと…


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