総長は、甘くて危険な吸血鬼
力が抜けていく胡桃の腰を、ぎゅっと抱き寄せる。
倒れないように…けどそれ以上に、誰にも渡さないという意思を込めて。
『ばか、何でこんな人前で…!』
顔を赤くしたままそう訴えけけられるけど、
そんな表情で言われても可愛いだけだしむしろ逆効果。
怒ってる胡桃も可愛い。
…正直、このままキスしたいくらい。
けど理性の最後の一線で踏みとどまって、俺は朔に鋭い視線を向けた。
「次また胡桃に何かしたら…組織ごと消してやる」
校内で口にするにはあまりに物騒な言葉。
生徒会長としての建前なんて、今はどうでもいい。
いつも鬱陶しい視線を向けてくる女達も、珍しく怯えたような目でこちらをみているのが分かる。
まぁ胡桃以外の女にどう思われたっていいけど。
「へえ、BLACK SKYを消す?随分面白いこと言うね。まぁいいよ、今日は“確認”しに来ただけだから。もう帰るよ」
確認…?
何の確認だ…?
含みを持たせた言い方をしていたのが気になるけど、朔はそのまま出口の方へ歩いて行った。