リフレインが聴こえない
 わたしが応援したいのは。
 どちらの、誰の応援?

 蒼くんの?

 自分の陣営の?
 ――大神くんの?

『紅白騎馬戦、用意! はじめ!』

 大太鼓が煽るように乱打される。
 地の底から響くように、激しい音が空気を震わせる。
 音に合わせて大将を護るように、両方の陣が渦を巻くように動きだす。

 女子の悲鳴のような歓声があがる。
 わたしは、無意識に胸の前で両手を組んでいた。

 目が離せない。
 ああ、どうしても、目が離せない。
 
 わたしは、蒼くんの彼女だ。
 ほかの男子が気になるなんてのは、蒼くんに対して、失礼だ。
 申しわけないことだ。


 ――ね。そうだよね?
 わたしは大神くんに、ものすごく惹かれている気がしても。
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