極上の愛に囚われて

 別荘に着いた時は夕暮れだったのに、外はすっかり暗闇に落ちている。窓から見える街の明かりがきらきらと美しく見えた。

「落ち着いた?」
「うん、ありがとう」
「夕食を食べよう。リビングに準備できてる」
「えっ、いつの間に!?」

 驚きの声をあげると、彼は少し気まずげに笑う。

「ん~、沙雪を抱いている間……かな」
「それって……」

 じわぁっと顔が熱くなっていく。ふたりの情事中、一階では誰かが食事を用意していたなんて、信じられない!

「大丈夫、声は聞こえてないと思う。まあ聞こえていても問題ないけど」
「問題ある! 大あり!」

 翔さんって、翔さんって!

 言葉が上手く出なくて、わなわなと震えてしまう。

「冗談だよ。ほんとは、さっき下りて行ったときに、玄関前に届いていたものをテーブルに置いただけ」

 あははははと声を立てて笑う彼は、いじわるだ。

 でも、こんな風に笑う彼を見るのは初めてで、それだけでしあわせを感じてしまう。

 ふたりの間に障壁はなにもないと、確信できるから。

「おいで。機嫌直して、バスローブ羽織って。食事しよう」
「うん」

 受け取ったバスローブを着て、腰に回された彼の腕の逞しさを感じながらリビングに向かった。
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