死んだはずの遠藤くんが教室に居る話
「YouTuber冷静すぎんだろ!うっちー俺を泊めて」
「坂井君って乙女」
 坂井の半分サイズの北沢がクスリと笑ったけど、坂井は真剣だった。
「俺たち何した?今井たちだけ復讐でいいんじゃね?」
「私たちは見えないふりしたから」
「注意してもヘラヘラしてたろ」
「上手に助けて言えなかっただけかもよ」
「でも俺たち関係ないよ!!」
 泣きそうな声にみんな黙り込んだ。

 また大きな雲が広がるけれど、降りそうで降らないそんな中途半端な天気だった。
 考えても答えがでない、今の僕たちみたいだ。

「僕は遠藤くんに授業中ゴミをぶつけた」
 そう僕が自白したら坂井は黙った。

「僕はそれを動画で撮っていた」
 矢口はつぶやき、荒れた教室の机を片づけるから僕も真似をする。

「俺もやった」
 大岸くんの発言にみんな心の中で驚いた。クラスの頭脳がそんなバカなことをやるなんてビックリだ。

「私はやらなかったけど、みんなと罪は同じだよ」
 北沢はそう言った。
 
 みんな自分の罪を認めている。

 僕らの告白は遠藤くんに届いてるのだろうか。
 届いていてもかわらないのか
 僕たちはみんな遠藤くんに恨まれて、地獄に落とされるのだから。

 地獄ってどこ?

 復讐って
 どんな復讐だろう。


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