溺れる遺伝子

さざなみと影

「これなんか似合うんじゃないか?あ、これもいいや。いや、こっちも…」

「あの…ツバサ…」

「ヒナって水着何号だっけ?」

「7だけど…」

「7かぁ~。9号ならいっぱいあんだけどな。お、これは7号じゃぁん?」


「…え!?ビキニ!?」

「え?やなの?ビキニ。」

「……。あ、ツバサ!これかわいい!」


「……。」

「ツバサ?」

「俺はヒナにビキニ着てほしい。」


「でも…なんだか…恥ずかしいような…」

「やなの?」


ツバサの声が少し低くなる。
こうなるともう逆らえない。


「ビキニ…。」

「ヒナはかわいいから大丈夫だって!」

「そ、そうかな…。あー!でもビキニの方が高いよ!」


「…ちょっとまって。」


ツバサはポケットから封筒を出した。


「じゃーん、初任給!俺が買ってあげるから心配すんなって!」

「えーっ!?悪いよ!!」


「そのかわり俺が気に入ったやつな」



「…う、うん」
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