貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
「あんたたちに耳もとで騒がれたら、治るものも治らないだろうさ」

 やり取りを見ていたナディアは気にしないと言おうとしたが、とてもそんな雰囲気ではない。

 のちにベスはこう語った。

「ちょっと大人げなかったね」

 つまるところナディアは目覚めてから手厚い待遇を受けたわけだった。

 アウグストが用意した『弱った人間でも食べられそうな料理』は、食器を使う必要がないほどやわらかく煮込んだ肉であったり、エスタレイクでしか獲れない川魚を香草に包んで焼き上げたものだったり、病み上がりには少し重かった。しかし少しでも滋養にいいものをという気持ちがうれしい。

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