貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
「同じ仲間だろう。……と言いたいところだが、そう思っているなら最初からおまえを貢ぎ物にはしないな」

 狼が唸るような低い声でゲルハルトが言う。

「お断りすべきかと。貿易の件もいまだに明確な解答を得られておりませんし、あまり下手(したて)に出すぎるのも侮られるだけです」

 人間とうまく共存していくべきだと考えているエセルも、主君と同じくらい憤る。

 そのせいか、肝心のナディアが一番この事態を冷静に受け止めていた。

 ジャンがナディアの様子を嫌な意味で気にかけているのはたしかだろう。そしておそらく、辱めたいと思っているのはコリンヌのほうだ。

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