貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
「それに私の主は陛下ですから。陛下はどんな手を使ってでもナディア様の不安を取り除けと仰った。私はそれに従うまでです」

 部下が後ろ手に取り押さえられたジャンの手首に噛みついた。

 彼らの特殊な牙は普段、口の奥に隠れている。必要な時に姿を見せるその牙には毒腺が通っていた。

 牙を突き立てた獲物の肌に毒を注ぎ込むためのものだ。

 ジャンの絶叫は牢獄に響きはしても、外までは届かない。

 間近でそれを聞いたコリンヌが恐怖のあまり気を失う。

「これもあなた方が悪いのですよ。ようやく陛下に訪れた〝春〟を邪魔したのですから」

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