インビジブル・ブルー
「どうぞ」

ガクが香ばしく焼き上げたベーコンエッグを目の前に置いた。

テーブルに三つ。

パン、コーヒー、ベーコンエッグ、そしてサラダ。これではまるで、幸せな家庭の朝食だ。

途端に食欲が失せた。

「起こす?」

僕の向かいに腰掛けたガクが、エプロンを取りながら言った。

「止めとけ。お前のことだ。どうせ一晩中遊び倒したんだろう?」

「まあね」

「眠たくないのか?」

「さあ。普段から眠ってるのか起きてるのか分からないような生活だから」

なるほど。

僕は変な部分に納得し、コーヒーをがぶりと飲み干した。そのまま席を立つと、「あらもう行くの?」とガクがつまらなそうに言った。

「ああ」

僕は冷たく返した。とてもではないが、今日はコイツと優雅な朝を過ごす気にはなれそうもなかった。

< 24 / 70 >

この作品をシェア

pagetop